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【新着記事】僕らの、Jaguar

2012.04.18

「この色はね、モトローラの携帯。あれからヒントを得て採用しました。クール」
2008年2月にモナコを舞台として開催された、それまでのSタイプを後を受け登場した新世代モデルである「XF」の試乗会。
デザイナーのイアン・カラム氏はそんな風にして、このXFから採用された”フォスファーブルー”と呼ばれるイルミネーションの誕生の秘密を語った。
そしてこの時、ジャガーというブランドが確実に新たなフェーズに移行しようとしていることを痛感した。
歴史と伝統によって生まれている負の要因でもある”しがらみ”を自ら振り切り、とにかく前へ歩を進めようとしていることを、その言葉に感じたのだ。
 

あれから4年以上が経ち、世の中は様々に変化して我々の価値観も大きく変わった。そうした中、ジャガーという会社にも大きな変化があった。
ちょうどXFの登場の前後でインドのタタ・グループによる買収があり、
それまでのフォード傘下のPAG(プレミア・オートモーティブ・グループ)から離れることになった。ブランドとしての新たなフェーズへの移行の時期に、奇しくもバックグラウンドも変わったわけだ。
 
そうしたことを思い返して今、ジャガーというブランドを見つめ、プロダクトを見渡して思うのは、「これで良かった」という想い。同時に感じたのは、ジャガーは確実に僕らの側にあるブランドになった、ということだ。
 
振り返ると2008年に送り出した最初のXFでは、正直迷いがあったように思えた。
フォスファーブルーや、Jゲートに代わって採用されたダイヤル・セレクターに代表される新たな時代への第一歩を確実に手に入れていたXFだが、
スタイリング、特にエクステリアではまだ迷いが感じられた。
 
そうした迷いが払拭されたのは、やはりXJのフルモデルチェンジからだろう。
ご存知のようにXJは先代モデルでは、非常に特徴的だった先々代のスタイリングを現代的にアレンジし、これをアルミボディで創ることで新世代を表現していた。しかしそこに漂うレトロモダンの雰囲気と、かつての繊細な感覚の乖離は、多くの人に新世代を感じさせなかった。だが、そうした状況を現行XJは見事払拭した。
 

エクステリアも、インテリアも、そこには確かに様々な”しがらみ”を振り切りながらも、確かにジャガーであることを感じさせる、非常に高レベルなデザインが展開されていた。そしてここからジャガーは、僕らのジャガーになった。
 
もちろん、おいそれと買うことはできない。そういうブランドである。しかし、以前とは異なり確実に我々の興味を集めるブランドになった。これこそが、僕らのジャガー、という意味合い。そこには現代の自動車デザインにおけるひとつのベンチマークが含まれ、表現そのものに注目が集まる。現在のジャガー・デザインでは、XJにおいて見つけたディテールが上手く他車に展開される。
 
 
 

特にXFは、XJで見つけた”目つき”の表現をこのモデルへと上手くアレンジして取り入れ、さらにトレンドであるLEDを与えた。
これによって確実にXFは、以前よりも魅力的な顔つきを手に入れた。それは何か、見つめるものがはっきりとした、という風にさえ想わせるものがある。
同時に中身は着実に磨き上げられ、ドイツ勢とは異なる豊かさや味わい深さを増してそこにある。ラグジュアリー、でもスポーティ、そうした不思議な感覚の融合が、XFにもたらされた。ひと言、カッコいいクルマになった。
 

XJは相変わらずの圧倒的な存在感を醸し出す。
このクルマ、イメージとして極めてラグジュアリーで威厳のある1台だが、
実はそうした面を走りに備えている一方で、驚くほどスポーティな面を備えているのが特徴だ。
以前にジャガーは富士スピードウェイで試乗会を開催したが、
その時XJをサーキットで走らせるというまたとない体験をして心底驚かされた。
なぜなら巨艦ともいえるこのモデルが、実にしなやかにサスペンションを伸び縮みさせ、
その大柄なボディをしっかりとコントロールしたからだ。
さらにはドリフトさせることも厭わない面も見せ、
この辺りにジャガーというブランドが昔から持っているスポーツの血が流れていることを実感した。
そして昨年登場したXJのスーパースポーツのLWBなどは、一見すると後席重視のクルマに思えて実はドライバーズカーなのだから、
いかにジャガーが走りのモデルかが分かる。それをXJで想わせるところが面白い。
 
 

しかし今回宮崎で開催された試乗会で最も印象的だったのは最新のモデルであるXKR-Sだ。美しいクーペモデルであるXKのスポーツモデルとして存在するXKRをベースに、さらに高いパフォーマンスと独自の仕立てを施したこのモデルは文句なしに、”僕らのジャガー”を象徴するモデルだと思えた。ジャガーと言えばイギリスの歴史と伝統、格式ある雰囲気…と様々にイメージが浮かぶが、それらを一旦奥にしまい込んで、とにかくイマドキのカッコ良さを感じさせるデザインやカラー、仕立てを存分に表現した。そして走らせると、良い意味で期待を裏切られる。そこにハードコアが展開されると思いきや、街乗りでは驚くほどのしなやかな感覚を見せる。そして高速道路では実にフラットで心地よい、スポーツカーを忘れるほどのライドすら見せる。だが一度鞭を入れれば550psを発生するV8スーパーチャージャーが咆哮し、1.8tのボディを軽々を前へと押し出す。そして操舵すれば実に鮮やかな感覚をもってレスポンスが返り、ピタリと路面を捉える力が生まれる。そんな様に、サーキットを走らせたい、と率直に思った。
 
 

こんな具合で今のジャガーは我々にとっても気になる存在となりつつある。
そして間もなく、ジャガーは新たなスポーツカーである”Fタイプ”を送り出すことになる。その名前は伝説のモデルであるEタイプの次、である。果たしてこのFタイプは、さらに我々の興味を惹くモデルになるだろう。
僕らの、ジャガー。
そうしたブランドが今、我々とともに新たな時代を築いていくのだ。
 
そして今後、ここに記した「僕らの、ジャガー」といえるような我々にとってのジャガーというものを、5月26日に創刊される「NAVICARS」において、NAVICARS編集長・河西啓介氏とともに対談しているのでそちらも併せてチェックしていただければ幸いです。
 
以下はジャガー宮崎試乗会でトライしたUSTREAM。通信環境が厳しく画像がかなり荒いですのでご了承ください。
■ジャガー宮崎試乗会その1


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■ジャガー宮崎試乗会その2


Video streaming by Ustream
 
■LOVECARS!TV!自動車ライター渡辺敏史さんと宮崎試乗会で乗ったジャガーを語るUSTREAM


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