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【間もなく上陸!】シボレー・ソニック

2011.11.04

■来週11月12日、GMジャパンが「シボレー・ソニック」を日本デビューさせる。ソニックは「ワイルド・コンパクト」と銘打って投入されるモデルで、ひと目見たら忘れられない”アクの強さ”を持っているのが最大の特徴。

■日本での価格も既に決定しており、185万円からという戦略的なプライスを掲げ、装備充実モデルでも198万円と200万円を切る設定だ。

■果たしてソニックとはどんなクルマなのか? 来週の国内デビューに先立ち、まずは9月にドイツで試乗した欧州仕様のインプレッションをお届けしたい。

 

 

 

 

■シボレー・ソニック欧州仕様(現地名アヴェオ)試乗リポート by 河口まなぶ 試乗日:2011年9月12日 試乗場所:ドイツ・フランクフルト近郊

 

●シボレーとはアメリカン・ブランドではなくグローバル・ブランドなり。
昔とは確実に価値を変えたイマドキのそんなシボレーを象徴するのがソニック(現地名:アヴェオ)。いよいよ来週、日本デビューを果たすこのモデルの欧州仕様を、一足先にドイツのフランクフルトで試乗した。
シボレーと聞けば誰もがガタイのいいモデルをイメージするが、実は最近のシボレーはコンパクトも強かったりする。事実欧州はコンパクトの激戦区だが、シボレーはソニックを始め、一つ上のクルーズ、一つ下のスパークなども投入して真っ向勝負を挑んでいる最中。この激戦区では最近、とんと日本車を見かけなくなった。代わりに目立つのがヒュンダイやキア。そしてそこにシボレーも確実にこの場所を占めつつある。
●事実、シボレーは昨年、トヨタ、VW、フォードに次いで販売台数で世界4位となり日産の上を行く。しかもトップ5の中では唯一、シェアを延ばしている。もちろんそこにソニックも貢献した。その意味では先日紹介したキャプティバとともに、新世代シボレーの主役ともいえる存在だ、ソニックは。
●成り立ちは北米を始め、世界中から英知を結集した辺りがキャプティバと同様。生産はお隣の韓国で行われる。キャプティバ同様世界中に散らばるGMの拠点がアイデアとノウハウを持ち寄って開発したモデルだけに、ソニックはピタリと時代を捉えたクルマに仕上がった。
●まずその典型がデザイン。ハッチバックの激戦区である欧州で何が必要かを、ソニックはしっかり表現する。ひと目見て強いインパクトを与える顔つき、極めて重要。しかも最近のトレンドは、良い意味で「ちょいブサ顔」。つまりひとの目が止まるような“引っかかり”が必要だ。その意味でもソニックのボウタイ・エンブレムの位置と目つきの関係は確実に“引っかかる”狙い済ましたアンバランス。しかもヘッドライト・ユニットは普通ならカバーを与えるところをあえてむき出しで表情を強調、文字通り“目を引く”わけだ。
●さらにデザインは見所多し。リアドアのノブをウインド後端に仕込むという5ドアハッチのスポーティ表現における定番をサラリと使いこなす。ソニックは後発。ならば何をすべきか? その答えがこのデザインにあり、全身で表現されている。

 

●そしてデザインはインテリアにまで強さを貫く。特に印象的なのはメーター周り。ガジェット的テイストで形作ったナセルをステアリングの先に設え、Gショック的なヘビーデューティー+スポーツを表現。人によっては子供っぽさを覚えるかもしれないが、中性的でデザインのためにデザインした日本車の草食感より好感度が高い。明確、割り切る、それらを無言で伝えるデザインもある。だからひとつひとつのパーツの質感も特に気にならない。この辺りも上手い。要は背伸びがない、というわけ。
●とはいえデザイン・コンシャスに陥るでなく、実用面もキチンと押さえる辺り、どこか生活にクルマがなくちゃならないアメリカならではの空気感も感じる。荷室の床板アレンジなんて日本車真っ青。それでいてガシガシ使えそうな感覚も併せ持つ。なんというか、骨太なんだけど痒いところに割と手が届いている、という感じだ。

 

●日本に導入されるソニックのパワートレーンは1.6LのNAであるECOTEC。そう、今は日本になきオペルも使ってたアレが復活する。組み合わせるトランスミッションはシボレーのコンパクトカーへは初搭載となる6速AT。これによってソニックの燃費は欧州値で13.8〜15.1km/Lだから1.6LのNAとしては上出来な方だ。
●早速走り出してみる。印象的なのは想像以上に洗練された乗り味を持っていること。正直、もう少しガサツな感覚かな? と予測したのだが、欧州車的な洗練感が乗り味全体に漂っているのだ。しかもドイツ車のようにその乗り味にカッチリした感じが漂うのとは少し異なり、意外にしなやかな感じが漂う。僕の20世紀的な頭だとどうしてもシボレーの名にワイルドを期待してしまうが、それとはちょっと異なる印象。しかも静粛性などもライバル同等を実現しており、走らせると洗練されたテイストを味わえる。ただ欧州車としては洗練を狙い過ぎたか、ややリアのサスペンションがソフトかも知れない。このためステアリングの座りが心許なく感じることも時にある。もう少しリアがしっかり決まるとステアリングもビシッと決まるだろう。この辺りは日本仕様がどうなっているか? 早速確認したいところだ。
●それはさておき郊外路/アウトバーンと1日中走って改めてシボレーのイメージが変わった、と報告しておきたい。特にコンパクトカーとしてのシボレーには今回初めて触れたわけだが、“想像以上”が多く感じられたのが収穫だった。特に乗り味と快適性は思わぬ収穫。この見た目からするともっとヤンチャそうだが、意外やスマートな一面を持っている。もっともその辺りをしてグローバル、といえるわけだが。

 

 

●というワケでシボレー・ソニック。まとめてみるとまず見た目でしっかりキャラクターが作り込まれている。そして走らせると良い意味で期待を裏切るギャップを感じるのがポイントだ。つまり激戦区欧州で真っ向勝負するだけの実力が備わっているわけだ。
ならば果たして日本ではどうか? 国産ハッチは少ないのが現状だが、輸入ハッチ同志では確実に比較対象に上がりそうな気がする。なぜならどこにもない独自の感覚が備わっているから。また見た目は非常にお目立ちだけど、中身は先にも記したように洗練度が高く意外にプレーンな感覚も持ち合わせる。この辺りは飽きのこない感覚とも。そうして見ていくと後は車両価格がキモとなるだろう。この点でどの辺りに据えるかでソニックの販売はもちろん、シボレーの日本での広がり方にも影響がありそうだ。
日本デビューも間もなくとなったソニック。とにかく一度、何にも似てないそれ、を体感してみてほしい。
 
このインプレッションは、自動車専門webサイト・カービュー(http://carview.co.jp)に掲載されたものに加筆訂正を加えたものです